コストダウン・生産リードタイム短縮を実現する板金筐体の塗装レス化について

板金筐体は、産業機器や電子機器、通信設備など、幅広い分野で使用されています。これまでは製品の外観を整え、耐食性を確保するために塗装やコーティングを行うことが一般的でした。しかし近年では、塗装を行わずにそのまま使用できる塗装レスの板金筐体が注目を集めています。従来の塗装ありの筐体と比べ、塗装レスは工程を削減できるため、製造コストやリードタイムの面で大きな違いがあります。
なぜ塗装レス化できるのか
素材の性能が向上し、耐食性や外観品質を塗装やコーティングに頼らず、金属素材や表面処理で実現できるようになったことで、塗装工程を省略することができるようになりました。たとえばステンレスは錆に強く、アルミは軽量かつアルマイト処理で耐食性を確保できます。さらに近年ではメッキ鋼板や耐食性に優れたZAM鋼板などの表面処理鋼板が登場し、塗装をしなくても十分な性能を発揮できるようになっています。
塗装レスを実現する代表的な方法
表面処理鋼板の活用

溶融亜鉛メッキ鋼板やZAM鋼板などの表面処理鋼板には亜鉛やアルミ、マグネシウムを組み合わせためっき層があり、強力な耐食性をもっています。特にZAMは過酷な屋外環境でも長期間錆を防ぐ性能があり、コストパフォーマンスの高い塗装レス素材として注目されています。
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メッキ鋼板(黒ZAM)を採用し、塗装工程を短縮
塗装鋼板の使用

あらかじめ塗装が施された塗装鋼板を使用することで、成形後の塗装工程を省略することが可能です。焼付け処理によって塗膜の密着性や耐久性が高く、色や模様も豊富に選べるため、意匠性を重視する筐体に適しています。一般的な液体塗装に比べて塗膜の品質が安定しており、後工程での塗装作業が不要になることから、生産効率向上に直結します。
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カラー鋼板を採用し、塗装工程を短縮
ステンレス材の利用

ステンレスは、耐食性に優れた代表的な材料で、特に屋外設置の筐体や水回りで使用されます。表面仕上げの方法によって、ヘアライン加工や鏡面仕上げなど、意匠性を持たせることも可能です。塗装を必要とせず、素材自体の美しさと強度を活かせる点が大きな魅力です。
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塗装レスのメリット
大幅なコストダウン効果
最大のメリットは、塗装工程そのものを省略できることによるコスト削減です。塗装には塗料代だけでなく、塗装設備の維持費や作業工数もかかります。塗装レスにすることで、これらの費用が不要になり、コストダウンが可能になります。
生産リードタイムの短縮
塗装工程を省略すれば、製品完成までのリードタイムも大幅に短縮されます。特に短納期対応が求められる現場においては、塗装レスは効果的です。設計から試作、量産に至るまでのスピードが速くなり、お客様の納期に柔軟に応えられるようになります。
品質の安定性とリスク低減
塗装には、色ムラや塗膜剥がれ、乾燥不良など品質上のリスクが伴います。一方、塗装レスであれば、素材や表面処理の品質が安定しているため、製品全体のばらつきが少なくなります。また塗装工程がなくなることで、不具合発生の要因そのものが減少し、品質リスクを大幅に低減できます。
塗装レスを採用する際のポイント

用途・設置環境の事前確認
塗装レスを導入する際には、使用する環境を十分に考慮することが重要です。屋内使用であれば問題ありませんが、屋外や高湿度環境での使用では、材質選定を誤ると錆や劣化のリスクが高まります。設置環境を事前に確認し、適切な素材を選択する必要があります。
設計段階からの塗装レス前提検討
塗装レスは後工程で決めるのではなく、設計段階から前提にして検討することが大切です。筐体の形状や組立方法によっては、塗装レスでは外観や耐久性に問題が出る場合もあります。設計者と製造現場が連携し、最初から塗装レスを前提とした設計を行うことで、最適な製品を実現できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は板金筐体の塗装レス化について、ご紹介いたしました。
当社では、ビューコートや黒ZAM材など、塗装済み鋼板を用いた塗装レス化による、コストダウンのご提案をしております。
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精密筐体・フレームファクトリーを運営する佐藤電機製作所は、これまで数多くの板金フレームの設計・製作を手がけてまいりました。当社はそのノウハウから、歪みを抑えて製作したい、短納期で対応してほしいなど、些細なことでも是非一度当社にご相談ください。
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