精密板金設計におけるコストダウンのポイント

精密板金設計におけるコストダウンは、製品の競争力を高める上で非常に重要です。設計段階からコストを意識することで、後工程での手戻りや無駄をなくし、効率的な生産に繋げることができます。
精密板金加工とは
精密板金加工とは、通常の板金加工と比較して、高い加工精度・寸法公差が要求される製品を、専用の機械などを用いて板材に対し溶接や、レーザーカット、曲げ加工などを行い、一つの製品に仕上げていく加工を指します。精密板金は、通常の板金加工と比較し、見た目や外観に高い品質が求められます。特にクリーンルームなどの、清浄度が保たれた空間での使用が想定されている製品の場合、少しのキズも許されません。
精密板金加工は、工程設計、図面展開、材料選定、抜き加工、前加工・成形加工、曲げ加工、要請津加工、仕上げ加工・表面処理、組立・検査の大きく9つの工程に分けることができます。精密板金においてコストダウンや品質向上を図るためには、工程設計から材料選定までの、加工の前段階での工夫が重要です。
精密板金の設計とは
精密板金の設計では、まず初めに設計と図面の展開を行います。お客様の求める仕様にあう製品を製造するために、工程を設計します。曲げ加工や抜き加工など、工程の順番や回数の検討や、加工に使用する汎用金型の選定などを行い、効率よく製造するプロセスを設計します。また必要に応じて、バリ取りや塗装、溶接などの工程を加えます。
精密板金は高い品質が求められるため、丁寧な加工でキズのない精密板金を制作することのできる技術力の高い会社を選ぶことが重要です。くわえて良い設計を行うことのできる会社を選定する必要があります。
精密板金設計における納期短縮・コストダウンのポイント
ここでは精密板金設計の納期短縮やコストダウンのポイントをご説明します。
1.部品点数の削減
部品点数の削減は、加工費だけでなく、組立工数や検査工数、運送費や在庫コストの削減につながります。複数の部品を一体化したり、標準部品を採用することで、部品点数を減らし、組立作業を簡素化できます。設計段階から、部品点数を少なくするための工夫が、コストダウン、納期短縮につながります。不良品のリスクの低減につながります。
例えば板金を曲げることで複雑な形状を一体で製作することで、部品点数を削減することができます。例えば、折り曲げ加工で筐体にリブを設けることで、強度を保ちながら部品点数を減らせます。
▼当社の加工工程を短縮した事例はこちら▼
2.加工工程の簡素化

加工工程を複雑にすることは、加工時間や使用する機械の種類の増加につながります。工程設計の段階で曲げ回数を最小限に抑えたり、接合方法を検討したりなど、最適なプロセスを組み立てることが重要です。ここでは接合工程と、組立工程の2つの面からご説明します。
接合工程の工夫
当社では、リベット接合でも仕様上問題ない箇所を、リベット接合にすることで、熟練技術者が必要な溶接加工に比べて作業時間を大幅に減らしています。またリベット接合は、溶接工程に比べて、スペースを取らず作業スピードも早いため溶接コストを削減することにつながります。
組立工程の工夫
組立時の作業効率を上げるための工夫も必要です。組立時に工具が使いにくい部分や、部品の取り付け角度が限定される箇所を避けることで、組立作業の効率を上げることができます。また複数の部品をユニット歌詞、モジュール単位での組み立てや検査を行うことで、最終的な組立作業を簡略化することにつながります。
3.材料の選定

強度や耐食性などを維持しながら、より安価な材料に変更することで、材料コストを削減できます。素材を変えることで塗装工程を不要にできるなど、素材の選定は、コストダウンやリードタイム短縮につながります。
必要最低限の板厚
製品の強度を確保できる範囲で、できるだけ薄い板厚を選択することで、材料費削減や軽量化につながります。選定する際は、強度解析などを活用し、必要最低限の板厚を検討します。
板厚の統一
異なる板厚を組み合わせる場合は、筐体加工会社の管理の手間やコストが増加します。可能な限り板厚を統一することで、コストダウンを図りましょう。板厚を統一することで、在庫管理の負担を軽減できます。
材料選定
強度や加工性を考慮し、必要に応じてアルミやステンレスなど、異なる材質を検討することも有効です。アルミやステンレスの中でも、流通性の高いものや、不要な処理(ヘアライン研磨、仕上げ等)を省いた材料を用いることでコストダウンを行うこともできます。
設計段階から製品の機能や品質を満たすことのできる材料の中で、加工が不要なもの、加工が容易なものを選定する工夫が重要です。
▼材料選定により、リードタイムを短縮した事例はこちら▼
まとめ
精密板金加工は、設計段階での工夫や、素材の選定、部品点数の削減、加工工程の工夫がコストダウン、リードタイム削減につながります。
精密板金加工でも、VA・VEの視点を設計段階から取り入れ、検討することで、より効率的で高品質な製品を、低コストで提供することが可能になります。
精密筐体・フレームファクトリーは、2m×1mのハイグレードな筐体・フレームを始めとする、精密板金加工を得意としております。お客様の品質・納期・ロット数などのご要望にお応えすることをお約束いたしますので、まずはご相談ください。