精密筐体における3つの重要検査
精密機器を収納する制御盤、液体を貯蔵するタンク、屋外に設置される防水筐体など、板金筐体にはその用途に応じて様々な機能が求められます。特に水密性・気密性は、製品の安全性や耐久性に関わる重要な要素です。
外観が美しく仕上がっていても、目に見えないピンホールや微細なクラックが存在すれば、重大な不具合の原因になってしまいます。
本記事では、板金筐体の品質を保証するために欠かせない、代表的な3つの検査方法「水張検査」「エアーリークテスト(発泡検査)」「カラーチェック(浸透探傷試験)」について解説します。
水張検査

水張検査は、その名の通り、製品に実際に水を張り、水密性を確認する検査方法です。タンクや防水が求められる筐体の溶接部や接合部から、水が滲んだり漏れたりしないかを確認します。
検査方法
筐体に指定された水位まで水を入れ、一定時間(数時間〜24時間など、仕様による)放置します。その後、以下の点を目視で確認します。
・水位が下がっていないか
・溶接部や接合部の外側に、水の滲みや漏れが発生していないか
・水圧による筐体の変形や異常がないか
特徴・適用例
実際の使用状況に近い形で試験できるため、信頼性が非常に高い検査です。防水型制御盤、受水槽、各種タンク、液溜めパンなど、液体を扱う製品や雨水の侵入を防ぐ必要のある製品に適用される検査です。
エアーリークテスト(発泡検査)

水張検査が「水密性」を見るのに対し、エアーリークテストはその名の通り、「気密性」を検査します。より微小な漏れの管理が必要な場合に用いられます。目に見えない微細な穴や隙間からの空気の漏れを検出し、筐体の密閉性を確認します。
検査方法
溶接箇所などに発泡液を塗布し、内側から空気をかけて漏れを確認します。
特徴・適用
水張検査よりも手軽に検査することができます。またピンホールなどの微細な漏れを確認することが可能です。防塵・防水規格が求められる筐体、半導体製造装置のチャンバー部品、精密機器を収納する気密ボックスなど、高い密閉性が要求される製品に欠かせない検査です。
カラーチェック(浸透探傷試験)
カラーチェックは水や空気の漏れでなく、構造的な強度に関わるキズを確認する検査です。カラーチェックは、目視では発見が困難な材料表面の微細なクラックや、ピンホールなどの溶接欠陥を見つけ出すための非破壊検査です。

検査手順
①前処理:検査面の汚れや油分を洗浄液で完全に取り除きます。
②浸透:鮮やかな赤色の、浸透性が非常に高い液体(浸透液)をスプレーなどで塗布します。キズがあれば、毛細管現象で液が内部に深く浸み込みます。
③除去:表面に付着している余分な浸透液を、専用の洗浄液(除去液)で拭き取ります。(キズ内部の液は残ります)
④現像:白色の微粉末(現像剤)をスプレーします。
⑤観察 現像剤が、キズ内部に残っていた赤い浸透液を吸い出すため、白い背景に「赤いキズの模様」が鮮明に浮かび上がります。
特徴・適用例
比較的簡便な機材でも精度の高い検査が可能です。特に強度や安全性が重視される部品、圧力のかかるタンクの溶接部、振動が加わる構造部品などの品質保証に広く用いられます。
>>カラーチェックについて詳しくはこちら
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いかがでしたでしょうか、板金筐体における重要な3つの品質検査についてご説明いたしました。精密筐体・フレームファクトリーを運営する、株式会社佐藤電機製作所は、精密筐体の設計から製作、品質検査まで対応しております。
精密筐体において品質検査は極めて重要です。
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