【事例も紹介!】 ステンレス製 板金筐体の設計・製作ポイント
精密筐体フレーム・ファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、ステンレスやアルミなどの精密板金加工の筐体製作のご相談をよくいただいております。
本記事では、当社のステンレス製の精密板金筐体の特徴を紹介します。
ステンレスで板金筐体を作ることの利点
ステンレスは、鉄を主成分としてクロムやニッケルなどを加えた合金です。
ステンレスは、下記のような特徴を持つため、食器から医療機械用の板金筐体、航空機部品など日常において幅広く使用される金属です。
⓵高耐久性
ステンレスは、高い耐久性を持ち、耐用年数も40~50年と金属の中でもトップクラスです。また、アルミニウムと比較したとき、比強度(単位重量当たりの強度)だとアルミニウムのほうが高い強度を持ちますが、重量より強度が優先される製品の場合は、ステンレスのほうが高い強度を示します。
②高耐食性
ステンレスは、stainless「錆びない」という意味を持つように、非常に高い耐食性を持ちます。ステンレスにはクロムが含まれているため、表面に酸化被膜を形成します。酸化被膜は高い安定性を持つため、サビなどに強くなります。表面に傷がついて、酸化被膜が剥がれてしまったとしても、瞬時にクロムが新たな酸化被膜を形成するため、傷が出来ても高い耐食性を示します。
③高い外観品質
ステンレスは、表面に光沢があり、研磨することでより美しく仕上げることが可能です。
④メンテナンスの容易さ
ステンレスの表面は非常に滑らかなため、汚れが付きにくいです。汚れが付着しても、簡単に清掃できるという利点を持ちます。また、耐食性が高いため、比較的長期間メンテナンスをせずとも問題がない場合が多いです。
ステンレスは、上記でご紹介したように高耐久性や、高耐食性などを持つ反面、加工難易度は高いです。続いては、なぜステンレスは、加工難易度が高いのかご紹介します。
ステンレス加工の難易度が高い理由
⓵加工時の熱が逃げにくい
ステンレスは熱伝導性が低く、加工時に発生する摩擦熱が逃げにくいです。そのため、工具が熱を持ちやすく、工具の不具合が起こりやすいです。
②加工硬化が起こる
ステンレスは、加工時に高い力や負荷がかかると、加工硬化といわれる減少が起こります。加工硬化は、硬度が高まるため加工の難易度が高くなってしまいます。
③工具との親和性が高い
ステンレスは、工具との親和性が高いため、切削の際に出る屑が工具にくっつきやすく、チッピングといわれる現象が起こったり、工具に癒着して加工精度が低下することの原因になる場合があります。
④スプリングバックが起きる
ステンレスは、ステンレスの応力とひずみが原因で、スプリングバックという曲げ加工の後に少しだけ元の形状に戻る現象が発生する場合があります。そのため、スプリングバックを考慮に入れて、曲げ加工を行う必要があります。
⑤スケールが起こる
ステンレスは、溶接時に高い温度で加工するため、スケールといわれる溶接焼けが発生する場合があります。スケールが発生すると、酸化被膜が形成できなくなり、電食の原因になる場合があります。
ステンレスは、本記で紹介した通り、様々なメリットを持つ反面、加工難易度が高いというデメリットも持ちます。
そのため、確かな加工技術を持った専門業者に一度、相談することをおすすめします。
当社のステンレス板金筐体加工の特徴
当社は、長年、ステンレス精密板金加工を行ってきました。そのため、加工の難易度の高いステンレスの加工においても多くのノウハウを所有しています。
そんな当社のステンレス精密板金加工の3つの特徴をご紹介します。
⓵独自に追求したバリレス加工
当社では、レーザー加工において、加工条件を当社独自の設定にすることで、ほとんどの製品でバリ取りを不要にしています。高品質化はもちろん、バリ取りの作業工程が不要になるため、納期短縮も実現しています。
②抜き加工時にキズが付かないよう、キズレスの対策
昨今、製品のキズの外観基準が厳しく求められます。当社では、その外観基準を満たすため、抜き加工時に製品にキズが付かないように対策をしています。抜き加工時、材料が移動する際に金型があたってキズがついてしまうことがあります。キズをつけてしまうと、不良品が発生してしまいます。そのため当社では、最適な金型の高さ調整やテープ(保護シート)を貼って傷を防いでいます。
③不良削減につながる、VA・VE提案を実施
当社は、積極的なVA・VE提案を積極的に行っております。お客様よりいただいた製品図面通りに加工するだけではなく、加工時に不具合が発生しそうな場合やより製作しやすいようにお客様へ設計改善提案をいたします。それにより、年間不良数の削減を実現しています。
当社のステンレス製 板金筐体事例をご紹介!
事例1 半導体検査装置 筐体
こちらは、ステンレス製の半導体製造検査装置の筐体です。
バリなしのレーザー加工によりバリ取り作業の削減、バーリング、タッピング、成形加工などの自動化により短納期を実現しています。また、溶接を使わないリベット式構造の採用により、製品の歪みを最小限に抑えています。
事例2 防災無線装置用 ステンレス筐体
こちらは防災無線装置用のステンレス製の筐体になります。
防災無線装置は屋外で使用されるため、中に水が入らないような防水構造に設計しております。
また屋外では、紫外線や雨に晒されるため、錆びたりしないよう屋外仕様の塗装を施しております。
筐体の組み立てから配線まですべて当社で対応しております。
事例3 半導体検査装置 筐体
こちらは、ステンレス製の半導体検査装置 筐体です。
本来は、溶接で接合を行うような筐体でしたが、月100個を超える生産が必要だったため、溶接からリベット接合で製作しております。また、お客様から依頼いただいた段階では、SUS430 2B材を使用予定でしたが、製品の仕様をヒアリングし、SUS430 KDに変更提案をし、コスト削減を実現しています。
ステンレス製の板金筐体の製作なら当社にお任せを
精密筐体・フレームファクトリーを運営する佐藤電機製作所は、過去多くのステンレス製の精密板金筐体の製作をしてきました。そのため、高い技術力やノウハウを所有しています。最小の歪みで製作したい、短納期で対応してほしいなど、些細なことでも是非一度当社にご相談ください。