板金筐体の設計ガイド⑥:筐体の組立について

本記事は6記事続けた、板金筐体の設計に必要な特集記事です。ぜひ他の記事もご覧ください。


設計段階からの工夫が重要

板金筐体の組立は、設計段階での工夫が、その後の工程の効率性、コスト、品質に大きく影響を与える重要なプロセスです。特に、VA(価値分析:Value Analysis)とVE(価値工学:Value Engineering)の視点を設計段階から取り入れることで、より効率的で高品質な製品を、低コストで提供することが可能になります。

組立における問題点と設計段階での解決策

板金筐体の組立においては、以下のような問題が発生することがあります。

  • 組立の手間
    複雑な形状の筐体や、部品点数が多い筐体は、組立に手間がかかり、作業時間が増大する傾向にあります。
  • 組立精度のばらつき
    設計段階で組立精度を考慮していない場合、部品同士の隙間や段差が生じ、製品の品質が低下する可能性があります。
  • 部品の調達
    特殊な形状の部品や、精度が要求される部品は、調達コストが高くなる傾向にあります。
  • 作業者の技能への依存
    組立作業の多くを熟練作業者に頼っている場合、人材確保が課題となるだけでなく、品質の安定化や生産性向上、生産量が増えた際の品質の安定が困難になる可能性があります。

これらの問題を解決するために、設計段階において以下の様な工夫が考えられます。

  • 部品点数の削減
    複数の部品を一体化したり、標準部品を採用することで、部品点数を減らし、組立作業を簡素化できます。
  • 組立治具の導入
    位置決めや固定を容易にする治具を設計段階から考慮することで、組立精度を向上させ、作業時間を短縮できます。盤強筐体の加工会社へ設計段階で相談しておくことで、組立治具等を前提とした提案を受けることがいいでしょう。
  • アクセスしやすい構造
    ネジやコネクタなどの接続部が見やすく、作業しやすい位置に配置することで、組立作業の効率を向上できます。
  • モジュール化
    筐体を複数のモジュールに分割し、それぞれを独立して組立可能にすることで、作業の分担化や並列化が可能になり、全体の組立時間を短縮できます。

VA・VEの視点を取り入れた設計

VA・VEは、製品やサービスの価値を向上させるための体系的な手法です。ある種、設計・企画段階からのコストダウンの代名詞として、セットで用いられますが、VAは、製品の機能を分析し、必要な機能を維持しながらコストを削減することを目的とする一方、VEは、製品の機能を実現するための手段を検討し、より効率的で経済的な方法を採用することを目的としています。

板金筐体の設計において、VA・VEの視点を導入することで、組立性を向上させながら、コスト削減や品質向上を実現することができます。具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 材質の変更
    強度や耐食性などを維持しながら、より安価な材料に変更することで、材料コストを削減できます。例えば、 精密筐体・フレームファクトリーでは SPCC から SECC への変更、SUS430 から SUS430 KD への変更などの事例を紹介しています。
  • 工法の変更
    溶接箇所を減らすために、曲げ加工で一体成型したり、スポット溶接を積極的に採用する などの方法があります。 では、これらの工法変更によってコストダウンを実現した事例が多数紹介されています。
  • 標準化・共通化
    部品やモジュールを標準化・共通化することで、設計・製造コストを削減し、組立作業の効率化も図れます。
  • 設計の簡素化
    複雑な形状を避ける、寸法公差を見直す など、製品の機能に影響しない部分などについて、設計を簡素化することで、製造コストを削減し、組立作業における誤りを減らすことができます。

まとめ

板金筐体の組立は、設計段階での工夫が、その後の工程の効率性、コスト、品質を大きく左右する重要なプロセスです。VA・VEの視点を設計段階から取り入れ、部品点数の削減、組立治具の導入、アクセスしやすい構造、モジュール化などを検討することで、より効率的で高品質な製品を、低コストで提供することが可能になります。

精密筐体・フレームファクトリーを運営する佐藤電機製作所は、2m×1mのハイグレードな筐体・フレームを始めとする、ハイグレードな精密板金の短納期製作を得意としています。

西関東エリア屈指の高精度加工設備を強みとしており、スピードと品質には自信があります。 試作品から量産まで一貫生産体制で対応しているため短納期のものづくりが可能であり、設計段階からのVA・VE提案も可能です。 まずはお気軽にご相談、お問い合わせください。

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