アルミ筐体の設計ポイント

1. 部品点数の削減:一体成型・曲げ加工の活用

一体成形

複数の部品を一体成型することで、組立工程を簡略化し、部品点数を削減できます。例えば、従来は別々に製造していた筐体の側面と背面を一体成形することで、部品点数と組立工数を削減できます。

またヒンジやボスなどの部品も板金として一体成型することで、別部品としての製造や組立が不要となり、さらなるコストダウンと品質向上が見込めます。

曲げ加工の活用

板金を曲げることで複雑な形状を一体で製作し、部品点数を削減することができます。例えば、折り曲げ加工で筐体にリブを設けることで、強度を保ちながら部品点数を減らせます。

また、曲げ加工を複雑に駆使することで、ブラケットや固定具などを筐体と一体化し、部品点数と組立工数を大幅に削減できます。

2. 標準化・共通化:設計・調達・製造の効率化

標準部品の採用

ネジ、ナットなど、汎用性の高い標準部品を積極的に採用することで、設計の手間を省き、調達コストを削減できます。標準部品は市場に流通しているため、調達リードタイムの短縮にもつながります。特注部品として都度設計しているような部品についても、一般流通している部品を流用、改造して使用できないか検討することで、コストダウンにつながります。

設計の共通化

複数の製品で共通して使用できる設計をモジュール化することで、設計工数を削減し、製造の効率化を図ることができます。例えば、異なる製品で筐体の基本構造を共通化し、バリエーションはパネルのみ変更することで効率化できます。

3. 設計の簡素化

複雑な形状の回避

可能な限りシンプルな形状にすることで、金型製作費などの初期費用を抑え、加工工程を簡略化できます。例えば、曲げ加工で表現可能な範囲で形状を設計することで、高価なプレス加工を回避できます。

機能を集約

複数の部品で実現していた機能を、形状を工夫することで一つの部品に集約できる場合があります。

厳しい公差の緩和

必要以上の厳しい公差は、加工の難易度を高め、コスト増加に繋がります。機能上問題ない範囲で公差を緩和することで、コストダウンを図ることができます。公差分析を行い、機能に影響を与えない範囲で公差を緩和します。

製造方法の見直し

公差が厳しい場合は、より精度が高いがコストの高い製造方法が用いられている可能性があります。製造方法を見直し、適切な精度とコストのバランスを図ることが重要です。

4. 組立てやすさの考慮:作業効率と品質向上

アクセスしやすい構造

部品の取り付けやメンテナンスがしやすいよう、開口部を広く設けたり、内部構造にゆとりを持たせるなど、アクセスしやすい構造を心がけましょう。[2, 9] 配線やコネクタの接続など、作業者の動作をシミュレーションし、干渉や作業性の悪そうな箇所を設計段階で洗い出します。

作業性の向上

組立時に工具が使いにくい箇所や、部品の取り付け角度が限定される箇所を避けることで、組立作業の効率が向上します。

モジュール化

複数の部品をユニット化し、モジュール構造にすることで、組立作業を効率化できます。モジュール単位で組み立て、検査を行うことで、最終的な組立作業を簡略化できます。

セルフアライメント

モジュールを結合する際に、位置決めが容易な構造にすることで、組立精度を高め、作業時間を短縮できます。

5. 板厚の選定:強度とコストのバランス

必要最低限の板厚

必要な強度を確保できる範囲で、できるだけ薄い板厚を選択することで、材料費削減、軽量化に繋がります。その際は強度解析などを活用し、必要最低限の板厚を検討します。

軽量化

板厚を薄くすることで軽量化できるため、輸送コストの削減や環境負荷低減にも貢献できます。

板厚の統一

異なる板厚を組み合わせる場合は、筐体加工会社の管理の手間やコストが増加します。可能な限り板厚を統一することで、コストダウンを図りましょう。板厚を統一することで、在庫管理の負担を軽減できます。

材料選定

強度や加工性を考慮し、必要に応じてアルミやステンレスなど、異なる材質を検討することも有効です。アルミやステンレスの中でも、流通性の高いものや、不要な処理(ヘアライン研磨、仕上げ等)を省いた材料を用いることでコストダウンを行うこともできます。

6. 溶接設計の最適化:歪みとコストを抑える

溶接の長さ

溶接の長さは、歪み量に比例します。強度上問題ない範囲で溶接の長さを最小限にする、あるいは間欠溶接を採用することで、歪みを抑え、溶接時間を短縮できます。溶接ビード形状を最適化することで、溶接強度を維持しながら溶接量を削減できます。

溶接方法の選択

レーザー溶接や抵抗溶接など、熱影響の少ない溶接方法を選択することで歪みを抑制できます。

溶接箇所の集中回避

溶接箇所が集中すると、その部分に熱が集中し、歪みが大きくなります。溶接箇所を分散させることで、歪みを軽減することができます。設計段階で溶接箇所をシミュレーションし、熱による変形を予測することで、歪みを最小限に抑えます。

溶接治具の活用

溶接時の変形を抑制するために、適切な溶接治具を使用することで歪みを抑え、精度を向上させることができます。筐体加工会社へ加工を依頼する前に、治具等の使用でコストダウンが図れないか等について相談しておくとよいでしょう。

7. 表面処理の選定:機能とコストの両立

必要最低限の処理

必要な機能を満たす範囲で、最もコストの低い処理を選択しましょう。使用環境や要求される耐食性などを考慮し、過剰な品質を求めないようにします。

代替案の検討

塗装やメッキなど、複数の表面処理方法を比較検討し、コストと性能のバランスが取れたものを選択します。

部分的な処理

筐体全体ではなく、必要な部分にのみ処理を施すことで、コスト削減が可能です。例えば、外観が重要な部分にのみ塗装を施し、内部は塗装を省略するなど、部分的に処理を省略することでコストダウンできます。

表面処理の組み合わせ

複数の処理を組み合わせることで、必要な機能を満たしながらコストを抑えることができます。


これらの項目は、あくまでも一般的な例であり、具体的な設計内容や最適化の手法は、製品の用途、要求仕様、製造工程、コスト目標などによって異なる可能性があります。筐体加工会社と加工方法や加工再度から見た筐体設計のポイントについて、話をしておくとよいでしょう。


精密筐体・フレームファクトリーを運営する佐藤電機製作所は、2m×1mのハイグレードな筐体・フレームを始めとする、ハイグレードな精密板金の短納期製作を得意としています。

西関東エリア屈指の高精度加工設備を強みとしており、スピードと品質には自信があります。 試作品から量産まで一貫生産体制で対応しているため短納期のものづくりが可能であり、設計段階からのVA・VE提案も可能です。 まずはお気軽にご相談、お問い合わせください。

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