筐体板金フレームの材質選定のポイント
板金フレームとは
フレームは、構造物や機械の骨格を形成する重要な部品です。特に板金フレームは、製造業において広く使用されており、その材質選定は製品の性能や耐久性に大きな影響を与えます。フレームの材質として一般的に使用されるのは鉄とステンレスです。これらの金属は、それぞれ異なる特性を持ち、用途や環境に応じて適切な選択が求められます。
板金フレームに使う鉄とステンレスの特徴と比較
鉄とステンレスは、見た目や基本的な用途は似ているものの、実際には多くの違いがあります。
以下に、これらの金属の特徴と比較を示します。
鉄の特徴
⓵強度
鉄は高い強度と耐久性を持ち、重い荷重を支えるのに適しています。
特に炭素鋼(SPC材、SS400など)は、一般的な構造用鋼材として広く使用されています。
②加工性
鉄は加工が容易で、切断、溶接、曲げ加工などが比較的簡単に行えます。
そのため、複雑な形状のフレームを作成するのに適しています。
③コスト
鉄は比較的安価であり、大量生産に向いています。コストパフォーマンスが高いため、予算が限られているプロジェクトに適しています。
④耐食性
鉄は錆びやすく、腐食に対する耐性が低いです。防錆処理や塗装が必要となることが多いです。
ステンレスの特徴
⓵耐食性
ステンレスはクロムを含有しており、表面に不動態皮膜を形成することで高い耐食性を持ちます。これにより、錆びにくく、長期間にわたり美しい外観を保つことができます。
②強度
ステンレス(特にSUS304)は高い強度と靭性を持ち、過酷な環境下でも優れた性能を発揮します。特に耐熱性や耐薬品性に優れており、特殊な用途に適しています。
③加工性
ステンレスは加工が難しく、特に溶接や切断には高度な技術が必要です。しかし、適切な加工を行えば、非常に高品質な製品を作ることができます。
④コスト
ステンレスは鉄に比べて高価です。しかし、その耐久性とメンテナンスの少なさを考慮すると、長期的にはコストパフォーマンスが高い場合もあります。
当社は、ステンレスでは、主にSUS304とSUS430の取り扱いがございますが、耐食性などを優先する製品にはSUS304、コストパフォーマンスを優先する場合はSUS430を使用する場合が多いです。また、SUS430-KD材と呼ばれる品質は元のSUS430と変わらないが、外観が少し劣る材料もVA/VE提案によりお客様に広く認められております。
鉄とステンレスの比較と選定のポイント
使用環境
鉄は屋内や乾燥した環境での使用に適しています。一方、ステンレスは湿気や腐食性の高い環境での使用に優れています。
コストと予算
初期コストを抑えたい場合は鉄が適していますが、長期的なメンテナンスコストを考慮するとステンレスが有利です。
加工の難易度
加工のしやすさを重視する場合は鉄が適していますが、高度な性能を求める場合はステンレスが適しています。
上記の特徴を踏まえてどのような鉄とステンレスのフレームがどのような製品に使われるかご紹介します。
建築用フレーム
建築物の骨格として使用されるフレームには、強度とコストパフォーマンスを重視して鉄が適しています。
ただし、外部に露出する部分や湿気の多い場所ではステンレス(SUS304やSUS430)をおすすめいたします。
食品加工機械
食品に直接触れる部分や洗浄が頻繁に行われる機械には、耐食性が高いステンレスが適しています。当社は、高い耐食性からSUS304をおすすめしています。SUS304は耐熱性も併せ持つ点も、高温環境に晒される食品加工機に適しています。
医療機器
医療機器には、耐食性と衛生面を考慮してステンレス(SUS304やSUS430)が使用されます。特に、手術器具や医療用カートなど高品質なステンレスが求められる場合ではSUS304、コストパフォーマンスを優先する場合はSUS430が適しています。
半導体関連装置
半導体関連装置には、SUS304やSUS430、A5052(アルミ)等の材料が広く使用されています。屋内向けの製品が多いですが、持続性が高く、メンテナンスが最小限に抑えられる観点から上記材料が使用されることが多いです。
当社の板金フレーム 設計・製作サービスの3つの特長
⓵試作・量産に合わせた、設計段階からのコストダウンをご提案
精密筐体フレーム・ファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、お客様に対して、材質や加工方法の変更提案、図面を頂いた段階での最適な設計変更提案などの品質向上・加工コスト削減、納期短縮につながるような改善提案を積極的に行っています。細かい改善提案を含めると、年間100件以上の提案実績があり、試作・量産等の様々なタイミングに合わせた、ご提案をさせていただきます。
②最新設備の使用による安定した加工品質
精密筐体フレーム・ファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、板金加工における曲げ・レーザー・プレス、溶接加工から、メッキや塗装、印刷、部材調達、組立、出荷まで一貫して生産できる体制を構築しております。
さらに、図面を頂いたら、図面のデータ化を行い、各工程ごとにそのデータを用いて生産管理を行っています。それにより、蓄積したデータを活用し、最適な加工を実施できるため、安定した品質かつ、コストを抑えた加工を行うことが可能です。
③安定した生産体制を構築による多品種少量生産
精密筐体フレーム・ファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、西関東随一の最新鋭の設備を保有しており、さらに、図面の電子化によりデータをタブレットで見える化もしています。
また、生産管理システムにより工程の進捗管理もしているため、回答納期遵守率97%を実現しております。 それにより、常に安定した生産体制を構築することができ、超多品種少量生産を実現しています。
10~100個の製作の場合は、最適コスト・短納期で対応することが可能です。
当社の板金フレームの製作事例をご紹介!
事例1 医療機器用 鉄製板金フレーム
こちらは、曲げ加工で製作しました、鉄製の医療機器用の板金フレームになります。
この部品の加工の特徴は、10回以上の曲げ加工を行って製作されていることです。
そのため金型の設置も1回ではできず、複数回の段取りを行って曲げ加工をする必要があります。
また、この部品のように一方向に長い部品は、突き当てる作業が不安定な箇所が発生しやすく、全体的に加工難易度が高くなる傾向がありますが、当社は長年、板金フレームを製作してきたノウハウと設備があるため高品質での製作が可能です。
最後に
いかがでしたでしょうか。本記事では、板金フレームに用いる金属とその特徴をご紹介しました。
精密筐体・フレームファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、板金筐体・フレームをはじめとした精密板金加工を得意としております。
当社が行ったVA/VE事例を掲載しておりますので、是非一度ご覧ください。
板金筐体・フレーム等の板金加工品のお悩み・ご相談があれば、一度お問い合わせください。