筐体製作に欠かせないファイバーレーザー溶接（FLW）とは
板金筐体とは
板金筐体とは、鉄やアルミニウムなどの金属素材で作られた筐体を指します。
この筐体は、「ボックス」や「ケース」、「ラック」、「ハウジング」といった多様な名称で呼ばれることがあります。
板金加工は、精密な加工が可能なため、医療、産業、通信機器といった幅広い分野で活用されています。
板金筐体の基本的な役割は、内部の機器や装置を保護することですが、現在では「コスト削減」や「短納期」、「高品質」といった要件も同時に求められるようになってきています。
筐体製作に欠かせないファイバーレーザー溶接とは
ファイバーレーザー溶接（FLW）は、近年、筐体製作において注目を集めている先進的な溶接技術です。
ファイバーレーザー溶接は、光ファイバーを通して生成された高密度のレーザー光を金属表面に集中的に照射し、そのエネルギーで金属を溶融させて接合する技術です。
この照射されたレーザー光の高エネルギー密度によって、金属が急速に加熱し溶かすことで溶接を行います。
この技術は、高い精度が要求される筐体製作では欠かせない溶接方法です。
TIG溶接との比較
従来の筐体溶接で広く使用されてきたTIG（Tungsten Inert Gas）溶接とファイバーレーザー溶接（FLW-6000ENSIS）は下記のような違いがあります。
⓵溶接速度が高い
ファイバーレーザー溶接はTIG溶接と比べて、数倍から数十倍の速度で溶接が可能です。
②熱影響の少ない加工が可能
TIG溶接では広い範囲に熱が加わるのに対し、ファイバーレーザー溶接では熱影響部が極めて小さくなります。
そのため、高い熱伝導性をもつアルミのような金属は溶接の際に溶けてしまう場合がありますが、ファイバーレーザー溶接は高い溶接速度をもつためこのような場合も対応可能です。
③歪みを抑えた溶接が可能
熱影響が小さいため、溶接後の歪みがTIG溶接と比較して大幅に低減されます。
④熱伝導性の高い金属の加工も可能
ファイバーレーザー溶接機は、様々な金属材料の溶接に適用できます。高い熱伝導性をもつアルミのような金属は溶接の際に溶けてしまう場合がありますが、ファイバーレーザー溶接は高い溶接速度をもつためこのような場合も対応可能です。
このようにファイバーレーザー溶接は他の溶接方法と比べ多くの利点があります。
続いて当社の当社の板金筐体 設計・製作サービスの3つの特長をご紹介します。
当社の板金筐体 設計・製作サービスの3つの特長
⓵試作・量産に合わせた、設計段階からのコストダウンご提案
佐藤電機製作所が運営する精密筐体フレーム・ファクトリーでは、お客様に提供する図面の段階から、材質や加工方法の見直しによるコスト削減や品質向上の提案を積極的に行っています。こうした提案には、製造コストの削減や納期短縮を図るための最適な設計変更も含まれ、年間100件以上の改善提案を実施しており、試作から量産に至るまで、様々なニーズに合わせた提案を行っています。
②最新設備の使用による安定した加工品質
佐藤電機製作所の精密筐体フレーム・ファクトリーでは、曲げ加工、レーザー加工、プレス加工、溶接加工をはじめ、メッキや塗装、印刷、部材調達、組立、出荷に至るまで、一貫した生産体制を整えています。お客様から図面を受け取ると、そのデータを各工程で管理・活用し、効率的かつ最適な加工を実現します。このように、データの活用により、安定した品質とコストを抑えた加工を提供しています。
③安定した生産体制を構築による多品種少量生産
佐藤電機製作所では、西関東エリアでトップクラスの最新設備を活用し、生産管理システムを通じて工程の進捗管理を行っています。さらに、図面の電子化とタブレットによるデータの可視化により、納期遵守率97％を達成。これにより、常に安定した生産体制を確保し、多品種少量生産にも柔軟に対応可能です。10～100個程度の製品も、最適なコストと短納期でお届けします。
当社のファイバーレーザー溶接を用いた板金筐体事例をご紹介！
事例1 当社のアルミ製筐体 板金筐体事例をご紹介！
こちらは、排水貯水タンクの製作事例です。
製品の仕様上、水漏れと溶接後の焼け跡は厳禁だったため、難易度が高い溶接が求められました。
薄板のアルミ材料ということもあり、より歪みが出やすい製品なので展開方法や接合方法等で品質を担保するために常に試行錯誤が必要な製品となっています。
当社では、ロボットによるレーザー溶接に対応しているため、難易度が高い溶接でも歪みを最小限に抑えた溶接が可能となっています。
最後に
精密筐体・フレームファクトリーを運営する佐藤電機製作所は、過去多くの精密板金筐体の設計・製作をしてきました。そのため、高い技術力やノウハウを所有しています。最小の歪みで製作したい、短納期で対応してほしいなど、些細なことでも是非一度当社にご相談ください。