筐体フレーム・板金フレーム製作のための基礎知識
板金フレームとは?
板金フレームとは、薄板状の金属(板金)を切断、曲げ、溶接などの加工を施して製作されるフレームのことです。材料としては、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板などが一般的に用いられます。板金フレームは、軽量でありながら高い強度を持つことが特徴です。これは、板金が持つ「面」の特性を活かし、効率的に力を分散させる構造を設計できるためです。また、プレスブレーキやレーザー加工機などの高度な加工技術により、複雑な形状や精密な寸法のフレームを製作することが可能です。
これらの特性から、板金フレームは、自動車、家電製品、産業機械、建築など幅広い分野で利用されています。
近年では、3D CADやCAE解析などの設計技術の進歩により、より複雑で高機能な板金フレームが開発されています。また、軽量化や高強度化などのニーズに対応するため、新しい材料や加工技術の研究も進められています。
板金フレームに求められる3つの機能
板金フレームには、用途に応じて様々な機能が求められますが、特に重要なのは以下の3つです。
①強度
製品や装置を支え、外部からの力に耐えるためには、十分な強度が必要です。フレームは、自重や積載物の重量、振動、衝撃など、様々な力に晒されます。これらの力に耐え、変形や破損を起こさないためには、高い強度が求められます。
強度不足は、製品の寿命を縮めたり、最悪の場合、事故や故障に繋がる可能性もあります。そのため、フレームの設計段階では、想定される荷重を 検討し、必要な強度を確保することが重要です。
②精度
部品の取り付けや動作精度を確保するためには、高い寸法精度が求められます。 フレームに歪みやねじれがあると、部品が正しく取り付けられなかったり、装置の動作に支障をきたす可能性があります。
特に、精密機械や電子機器などでは、微細な寸法誤差が性能に大きな影響を与える可能性があります。そのため、設計図面通りに正確に製作することが重要です。
③軽量化
製品全体の重量を軽減することは、燃料消費の削減や輸送コストの低減に繋がり、環境負荷の低減にも貢献します。 特に、自動車や航空機など、移動体に使用されるフレームでは、軽量化が重要な課題となっています。
軽量化は、燃費向上だけでなく、運動性能や操作性の向上にも繋がります。しかし、軽量化を進めすぎると強度が不足する可能性があるため、強度とのバランスを考慮することが重要です。
強度確保のポイント
板金フレームの強度を確保するためのポイントは以下の点が挙げられます。
①開先加工と全周溶接
板金同士を接合する溶接は、フレームの強度を左右する重要な工程です。溶接強度を高めるためには、開先加工と全周溶接が有効です。
開先加工とは、溶接する板金の端部に溝を設ける加工のことです。開先加工を施すことで、溶接部の断面積を増やし、より強固な接合を実現できます。また、溶接不良の原因となる隙間や段差をなくす効果もあります。
全周溶接とは、接合部をぐるりと一周溶接することです。部分的な溶接に比べて、より強固に接合することができます。特に、振動や衝撃など、繰り返し荷重がかかる部分には、全周溶接が推奨されます。
②補強材の活用
リブやブラケットなどの補強材を適切に配置することで、フレームの剛性を高め、強度を向上させることができます。
リブとは、板金にプレス加工などで突起を設けたものです。リブを設けることで、板金の曲げ剛性を高め、変形を防ぐことができます。
ブラケットとは、板金同士を連結したり、フレームを他の部材に固定するための部品です。ブラケットを適切に配置することで、荷重を分散させたり、フレーム全体の強度を高めることができます。これらの補強材の形状、配置、材質などを工夫することで、より効果的に強度を向上させることができます。
③材料選定
使用する板金の材質や厚さを、用途や負荷に応じて適切に選択することが重要です。一般的に、板厚が厚いほど強度は高くなりますが、重量も増加します。強度と重量のバランスを考慮しながら、最適な板厚を選択する必要があります。
また、材質によっても強度が大きく異なります。高強度鋼板やアルミ合金など、強度が高い材料を使用することで、フレーム全体の強度を高めることができます。
精度確保のポイント
板金フレームの精度を確保するためのポイントは以下の点が挙げられます。
①タップ位置の精度
ねじ穴の位置や深さなどの精度を確保することは、部品の取り付け精度に直結します。タップ位置がずれていると、部品が正しく取り付けられなかったり、ガタつきや緩みの原因となる可能性があります。
タップ加工を行う際には、高精度なタップ加工機を使用することはもちろん、加工前の位置決めやワークの固定を確実に行うことが重要です。また、タップの摩耗や破損にも注意し、定期的に交換する必要があります。
②フレーム全体の精度
フレーム全体の寸法精度や直角度、平面度などを厳密に管理することで、製品の性能や品質を確保することができます。
フレームに歪みやねじれがあると、組み立て時に他の部品との干渉や隙間が生じ、製品の外観不良や機能不良に繋がる可能性があります。
フレーム全体の精度を確保するためには、設計段階での綿密な検討はもちろん、加工工程における適切な品質管理が重要となります。
③加工設備の精度
高精度なレーザー加工機やベンディングマシンを使用することで、加工精度を高めることができます。
レーザー加工機は、レーザービームを用いて板金を切断する加工機です。非接触で加工できるため、材料への熱影響が少なく、高精度な加工が可能です。
ベンディングマシンは、板金を曲げる加工機です。数値制御により、曲げ角度や曲げ位置を正確に制御することができます。
近年では、これらの加工機の精度が飛躍的に向上しており、より高精度な板金フレームの製作が可能となっています。
④治具の使用
専用治具を使用することで、加工時の位置決め精度を高め、安定した品質を確保することができます。
治具とは、加工物を固定したり、位置決めするための工具です。治具を使用することで、作業者の熟練度に依存することなく、常に同じ精度で加工を行うことができます。
また、治具は、加工効率の向上にも貢献します。一度治具をセットすれば、同じ形状のワークを繰り返し加工することができるため、作業時間を短縮することができます。
軽量化のポイント
板金フレームの軽量化を実現するためのポイントは以下の点が挙げられます。
①肉厚の変更
フレームの強度を保ちながら、必要な部分の肉厚を薄くすることで、軽量化を図ることができます。
板厚を薄くすることで、当然ながら重量は軽減されます。しかし、薄くしすぎると強度が不足し、変形や破損のリスクが高まります。そのため、最適な肉厚を決定することが重要です。例えば、荷重の少ない部分の肉厚を薄くしたり、部分的に肉抜き加工を施すことで、強度を維持しながら軽量化を実現することができます。
②材料選定
アルミ合金やマグネシウム合金など、軽量で高強度な材料を使用することで、フレーム全体の重量を軽減することができます。
従来、板金フレームの材料としては鋼板が主流でしたが、近年では、アルミ合金やマグネシウム合金などの軽量材料が注目されています。これらの材料は、鋼板に比べて比重が小さいため、同じ強度を保ちながら軽量化を実現することができます。
ただし、軽量材料は一般的に高価であるため、コストとのバランスを考慮しながら材料を選定する必要があります。
③構造の最適化
フレームの構造を工夫し、部品点数を削減したり、無駄な部分を削ることで、軽量化することができます。
例えば、複数の部品を一体成形することで、接合部を減らし、軽量化を図ることができます。また、3D CADなどを活用し、構造解析を行いながら、無駄な部分を削り、最適な形状を追求することで、軽量化を実現することができます。
当社の板金フレーム 設計・製作サービスの3つの特長
①試作・量産に合わせた、設計段階からのコストダウンご提案
精密筐体フレーム・ファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、お客様に対して、材質や加工方法の変更提案、図面を頂いた段階での最適な設計変更提案などの品質向上・加工コスト削減、納期短縮につながるような改善提案を積極的に行っています。細かい改善提案を含めると、年間100件以上の提案実績があり、試作・量産等の様々なタイミングに合わせた、ご提案をさせていただきます。
②最新設備の使用による安定した加工品質
精密筐体フレーム・ファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、板金加工における曲げ・レーザー・プレス、溶接加工から、メッキや塗装、印刷、部材調達、組立、出荷まで一貫して生産できる体制を構築しております。
さらに、図面を頂いたら、図面のデータ化を行い、各工程ごとにそのデータを用いて生産管理を行っています。それにより、蓄積したデータを活用し、最適な加工を実施できるため、安定した品質かつ、コストを抑えた加工を行うことが可能です。
③安定した生産体制を構築による多品種少量生産
精密筐体フレーム・ファクトリーを運営する佐藤電機製作所では、西関東随一の最新鋭の設備を保有しており、さらに、図面の電子化によりデータをタブレットで見える化もしています。また、生産管理システムにより工程の進捗管理もしているため、回答納期遵守率97%を実現しております。 それにより、常に安定した生産体制を構築することができ、超多品種少量生産を実現しています。
10~100個の製作の場合は、最適コスト・短納期で対応することが可能です。
板金フレームの設計・製作なら当社にお任せください
精密筐体・フレームファクトリーを運営する佐藤電機製作所は、過去多くの板金フレームの設計・製作をしてきました。当社はそのノウハウから、歪みを抑えて製作したい、短納期で対応してほしいなど、些細なことでも是非一度当社にご相談ください。